戦争で両親を亡くし、兄妹とも離ればなれになってしまったなつ。なぜ自分には家族がいないのか……。9歳の少女が幸せを求めて吐き出した怒りは、とてつもない寂しさだったのです。自分の居場所が欲しいだけ、今のなつの心の中にはどんな風景が映っているのでしょうか。
NHK連続テレビ小説『なつぞら』
9話あらすじ
あの子はかしこいから、生きようとしてるなら水だ……。
そんな泰樹の言葉から、河川敷を探し始めた柴田家の面々。そして、なつはそこにいました。父が遺した手紙を読み、父が書いた幸せな家族の絵を見ながら、幸せだったあの頃の夢を見て涙を流します。
「なつ!」
振り向くとそこには、柴田家の人々の姿が……。
みんなの顔を見たなつは、再び泣き出してしまいました。
立ち上がったなつは、「なんで私には家族がいないの?」と怒りをぶつけます。
泰樹は「もっと怒れ。怒ればいい」と、なつの思いをしっかりと受け止めようとしました。
「バカヤロー、チクショー……」なつは大声で叫びます。
「お前にはもう、そばに家族はおらん。だが、わしらがおる。一緒に、おる。」
連続テレビ小説『なつぞら』9話から引用
なつは、泰樹の腕の中で大きな声で泣きます。まるで必死で堪えていたすべてを吐き出したかのように……。
なつを連れて雪月に戻った柴田家の人々は、雪之助が用意してくれていたアイスクリームを食べていました。ひとくち食べては満面の笑みを浮かべるなつ。
剛男は、アイスクリームの味を”平和の味”といい、長男の照男は泰樹に「俺にも搾乳を教えてください」と頭を下げます。
「いいだろう…ついでに夕見子もやるか?」「絶対やだ。私を巻き込んだら家出するから」そんな言葉のやりとりが笑いを誘い、和やかなひと時を過ごしたのです。
牧場に戻ったなつは、菊介と悠吉に「心配かけてごめんなさい」と頭を下げ、「自分が大丈夫ならお兄ちゃんも千遥も大丈夫、だからここにいてもいいよね?」子牛にも話しかけました。
「なつ、ちょっと来てみろ」
泰樹に呼ばれたなつは、牛乳からバターを作るバターチャーンという機械を見せられます。
「牛乳からバターを作る道具じゃ。日本一の……いや、いや、いや…世界一のバターを作るんじゃ」
「世界一のバター?」
連続テレビ小説『なつぞら』9話から引用
ドラマ『なつぞら』9話の見どころと感想
ナレーションを務めている、ウッちゃんがなつのお父さんだったとは驚きでした。そう思うと、なつにかける言葉にも泣けてきます。
あんなに楽しくて優しいお父さんだからこそ、剛男と気が合ったというのも分かる気がしました。2人とも同じようなタイプの人柄ですし。
なんだかんだ言っても最初は怖かった泰樹が、一番なつのことを見ていたはず。受け止めてくれる人がいる、ここにいてもいいという確証を得たからこそなつは、十勝で生きていくと決めたようですね。
今回もまたジーンとさせてくれました。子供の想いは大人が思うよりもっと繊細なもの。なつは、家族ではない自分がここに居てはいけないんだと思っていたのかもしれません。
みんな自分の家族と一緒にいる、だから自分も本当の家族の所に行くべきなのだと……。柴田家の人たちに迷惑をかけていると、子供ながらに気を使っていた……。
河原でみんなの顔を見て流した涙は、ホッとした想いと自分を探しに来てくれたこと、自分の存在がそこに感じた嬉しさから出てきたものでしょう。
これでやっと柴田家の人間になれた、そんな感じがしました。
ドラマ『なつぞら』の視聴率
『なつぞら』の市長室は、初回から20%台をキープし続けている人気ドラマとなっています。
1話からの視聴率をまとめてみました。
1話:22.8%
2話:20.9%
3話:23.0%
4話:22.4%
5話:22.3%
6話:21.0%
7話:22.5%
8話:22.1%
9話:22.1%
(ビデオリサーチ調べ、関東地区)