ボブという名の猫 幸せのハイタッチ/幸せのギフト 感想・レビュー|2作で描く再生の物語

ボブという名の猫幸せのハイタッチとボブという名の猫2幸せのギフトのレビュー レビュー
© 2016 STREET CAT FILM DISTRIBUTION LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.|©2020 A Gift From Bob Production Ltd. All Rights Reserved.

人生がうまくいかないとき、「何かが劇的に変わる瞬間」を期待してしまう。でも『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』と続編『ボブという名の猫2 幸せのギフト』が描くのは、奇跡ではなく、今日をなんとか生き抜くことの積み重ねだ。

路上生活、依存症、孤独。どん底にいた青年ジェームズのそばに現れたのは、人生を救う“特別な存在”ではなく、ただ隣に座り続ける一匹の猫だった。

1作目は「救われる物語」、2作目は「誰かを守る側になる物語」。ボブと過ごす日々が、少しずつ、でも確かに人生を前へ進めていく——静かで、やさしくて、忘れがたい実話映画だ。

ボブという名の猫 作品情報

作品名ボブという名の猫
幸せのハイタッチ
原題A Street Cat Named Bob
監督ロジャー・スポティスウッド
制作2016年
原作ジェームズ・ボーウェン
作品名ボブという名の猫2
幸せのギフト
原題A Gift from Bob
監督チャールズ・マーティン・スミス
制作2020年
原作ジェームズ・ボーウェン

あらすじ

© 2016 STREET CAT FILM DISTRIBUTION LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.

ロンドンで路上生活を送りながら、ストリートミュージシャンとして日銭を稼いでいたジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)。依存症や孤独を抱え、人生の行き場を見失っていた彼の前に、ある日一匹の茶トラ猫が現れる。

その猫・ボブは、助けを求めるわけでも、媚びるわけでもなく、ただジェームズのそばに居続けた。一緒に街へ出て、音楽を聴き、眠り、同じ時間を過ごすうちに、ジェームズの人生は少しずつ変わり始めていく。

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』は、どん底にいた一人の青年が“生き直すきっかけ”を見つけていく物語。

続編『ボブという名の猫2 幸せのギフト』では、人生が好転したあとのジェームズとボブに新たな試練が訪れる。それは「救われる側」だった彼が、誰かを、そしてボブを守る立場になるということだった。

小さな奇跡の連続ではなく、日々の選択と積み重ねが描かれる、静かで温かな実話映画だ。

見どころ

見どころ①:ボブはただ寄り添ってくれた存在

©2020 A Gift From Bob Production Ltd. All Rights Reserved.

『ボブという名の猫』シリーズが特別なのは、ボブが“奇跡を起こす存在”として描かれていないところにあります。

ボブは、何かを教えるわけでも言葉で励ますわけでもなく、ただジェームズのそばに座り、同じ時間を生きているだけです。

それでも、人は誰かがそばにいることで、少しずつ何かが変わっていく。それが「今日を生きる理由」になることもあります。

孤独だったジェームズは、ボブと出会い、もう一度社会とつながっていく――。ボブの存在は、ジェームズが前へ進むための原動力となりました。

この映画は、感動を押しつけてきません。ただ、観終わったあとに気づくのは、私たちの心までそっと整えてくれたということです。

見どころ②:1作目と2作目で変わる「立場」と「責任」

1作目『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』で描かれるのは、人生のどん底にいたジェームズがボブと出会い、少しずつ救われていく過程です。

食べること、眠ること、そして明日を迎えること。当たり前のことすらままならなかった彼にとって、ボブの存在は「生き続ける理由」そのものでした。

一方、続編『ボブという名の猫2 幸せのギフト』では、物語の軸が大きく変わります。人生が好転したあと、ジェームズは“守られる側”から守る側へと立場を移していくのです。

成功の裏で生まれる不安、社会の目、そして責任。ボブと一緒に生きることは、同時にボブの未来も背負うことを意味していました。

この2作品は、「再生」だけで終わりません。誰かと生きることの重さと、それでも手を離さないという選択の尊さが、より深く胸に残る物語です。

レビュー

『ボブという名の猫』シリーズは、大きな事件が次々と起きる映画ではなく、

人生が一瞬で好転するような奇跡も描かれません。

1作目では、家族との関係に悩みながらも、ジェームズが少しずつ過去と向き合い、再び人とのつながりを取り戻していく姿が描かれます。その過程にはトラブルもありますが、失われかけていた絆が静かに結び直される場面も印象的です。

ボブがいなければ、ジェームズは今も路上生活を続けていたかもしれません。ボブは、彼にとって前を向いて生きる力を与えてくれた、かけがえのない存在でした。

観終わったあとに残るのは、「今日をちゃんと生きよう」という前向きさです。つらいときに必要なのは、励ましの言葉でも正論でもなく、ただ隣にいてくれる存在なのかもしれません。

ボブは何も語らないけれど、確かにジェームズの人生を変え、観る側の心にもそっと触れてきます。派手さはないけれど、疲れているときほど沁みる映画でした。

補足

実際のボブは、2020年に推定14歳でこの世を去りました。

それを知ったあとで映画を振り返ると、彼がただ“可愛い存在”ではなく、ジェームズの人生を共に生きた、かけがえのないパートナーだったことがより深く胸に残ります。

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