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「想いの温度差~九霄寒夜暖~」3話・4話・5話のネタバレあらすじと感想 

ラブロマンス
©BEIJING IQIYI SCIENCE & TECHNOLOGY CO., LTD.
作品情報
  • 公開年/製作国:2023年/中国
  • 原題:九霄寒夜暖
  • ジャンル:古装ドラマ/ロマンス/ファンタジー/ミステリー/コメディ
  • VODFOD

乾国の督査衛の捜査官・蘇玖児は幼い頃にかかった奇病のため、体が冷えて動けなくなってしまう特異体質の持ち主。寒冷の地である祺国からやってきた寒狰は熱い心と体を持った少しぶっきらぼうな皇子様。

それぞれ別々の理由で三本傷の祺人を追う二人は、数々の祺人が絡んだ事件を追ううち次第に心を通わせていきます。

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これまでのおはなし

官吏殺人死体遺棄事件では、三本傷の祺人が容疑者として目撃されていました。それぞれの理由で三本傷の祺人を追う、蘇玖児と寒狰は反発しあっています。

しかし、乾国内で自由に動くには蘇玖児の協力があった方が便利であり、三本傷の祺人を捕まえるには寒狰の力が必要。お互いジレンマを抱えながら再会しました。

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3話:地獄の門

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蘇玖児そきゅうじの狙い通り、祺人は刺激の強い匂いが苦手です。蒼祺族のは克哈は気絶してしまっています。しかし、雪祺族の寒狰かんそうは必要な時に五感をシャットアウトできたので、刺激臭を嗅がずに済んだため全く無害な状態でした。

二人がなにをしようとしているのか確かめるために気絶していたふりをしていただけだったのです。

蘇玖児は、落ち着いて話がしたかったからこうしただけだと慌てて言い訳し、三本傷の祺人を一緒に探す協力がしたいと申し出ます。

しかし、寒狰は協力を依頼するのにこの態度はおかしいと怒り、馬車を壊して会話に邪魔な克哈と胡八道をまとめて遠くに投げてしまいました。

寒狰は、蘇玖児に「なぜ執拗に付け回すのか「と脅し半分に追求すると、蘇玖児は「悪意があるわけではなくて…あなたの美貌に憧れてるとでも思って!」そう誤魔化します。

すると、恋愛は一生に一度と決めている潔癖な性格の寒狰は、あからさまな逆セクハラ発言に激怒してその場を立ち去ってしまいました。

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和安堂という医院を経営している蘇玖児の母が、胡八道の背中の打撲と蘇玖児の首のあざを見て怒ります。母は、何か危ないことをしてるんじゃないのかと訝しみ、怪我の原因が祺人だと知りさらに怒りました。

それを聞いた蘇玖児は、事件を自分たちの視点ではなく祺人の目で見なくては!とひらめきます。そして、祺人は天空図、乾人は地図で祺人の言う地獄の門を天空図で見ると……!

一方、最後の死体遺棄場所となる地獄の門の場所についてですが、寒狰は九霄城の地理に疎いので見当もつきませんでした。

ひどい匂いで身も心もボロボロになった気の毒な克哈に美味しいご馳走を食べさせて元気付けてあげますが、寒狰は根は優しいのに素直ではないので、「命令できるように体力を維持させるため食べさせてるんだ」と言い訳します。

四日後。殺人者が最後の遺体を「地獄の門」に捨てるときが、彼を捕らえる最後の機会です。克哈は寒狰に蘇玖児と協力するよう提案しますが、突っぱられます。

克哈は、「今にも彼女を殺しそうな顔をしているのに誰がそんな人を好きになるのか。考え過ぎだ」と呆れます。

また、蘇玖児は督査衛の一室で外で聞き耳を立てている岳大仁にわざと聞こえるよう、地獄の門がどこをさすのかを胡八道に説明しました。

胡八道は「三日後 光華橋の塔で会おう」と言い、その足で寒狰達に手掛かりを渡しに行きました。寒狰は克哈に、回りくどい言い訳をしながら手紙を渡します。こうして役者がそろいました。

三日後、光華橋には督査衛、克哈と寒狰もいましたが、夜中を過ぎても動きがありません。楼台で様子を見ていた胡八道は下の様子を見に降りて行き、一人残された蘇玖児は星を見ながらボーっとしています。

すると、影が近付き、突然蘇玖児を突き落としたのです。寒狰は一瞬、影を追おうとしますが、蘇玖児の助けを呼ぶ声に諦めて蘇玖児を助けます。

蘇玖児を襲ったのは確かに三本傷のお面をかぶった男でした。しかし、祺人の臭いがせず遺体を捨てている様子もありません。そんななか、橋のたもとに何かが浮かび上がってきました。

拾い上げてみると、首のない遺体が油紙に包まれていたのです。激しい異臭から半月は水の中に沈んでいた様子。これには、百人の部下を与えて守備隊にまで警戒させたのに、まんまと遺体を捨てられたことに厳局長は激怒しました。

誰にも知られず、どうやって遺体を捨てたのか?悩む一同に蘇玖児は、遺体が土と一緒に油紙に包まれて沈められていたが、川の水で次第に土が溶け出して流れたため遺体が浮きあがったのだと説明します。

これで遺体は四人とも捨てられてしまったので、犯人の手がかりはなくなってしまいした。

残り七日で犯人を捕まえなければならないため、蘇玖児は三本傷の祺人が橋の周りにたくさんの人がいる中で自分だけを狙ったことを思い出しました。

すると、胡八道は「きっと知らない間に、自分が犯人と出会っていたから口封じをしようと考えたんだろう」と気づき、蘇玖児に今すぐ都を出るよう言いました。

しかし、蘇玖児には別の考えがありました。それは「自分を囮に犯人を捕まえること。」で、そのためには寒狰の協力が必要だと、寒狰の家に手土産を持って向かいます……

感想

克哈に親切にするときですら素直じゃない寒狰が可愛いですよねー。蘇玖児にやたらベタベタ触られて焦る姿がまるで小学生がフォークダンスで手をつなぐのを恥ずかしがってるみたい!って思っちゃいました(たとえ方が昭和でスミマセン)。このあともずっと振り回されっぱなしになるのが予想できてしまう、うろたえ方でニヤニヤが止まりません。

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4話:朔北舞肆

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蘇玖児は、祺人が好んで食べるというハリネズミを手土産に寒狰の家を訪れると、寒狰は「柔らかい肉質の女の子が好きなんだ」と、脅かしからかいます。

今更ながら名乗ってお互いに自己紹介し、手がかりを教えるから協力して欲しいと蘇玖児が頼むと寒狰は、本当は守って貰いたいだけだろうと言います。

犯人は自分を殺そうとするだろうから、そこを捕まえて欲しいと持ち掛けますが、寒狰は「後を付けていればいつか殺しに来るだろうからその後で捕えればいいことで守る必要はない」と、冷たく言い放ったのです。

しかし、蘇玖児は四番目の遺体から盗み出した指輪を見せ、その場所へ一人で行く勇気がないからついて来て欲しいだけなんだと食い下がりました。

九霄城にはたくさんの祺人がいるのになぜ、自分に頼るんだと不思議に思う寒狰に蘇玖児は、「あなたが武術と知性に優れ、三回も命を救ってくれた優しい人だと知ってる。友達になりたいんだ」と真剣に頼みました。

寒狰は、結局ほだされて協力することになりました。

蘇玖児は「この事件のおかしなところは犯人の動機で、童謡を完成させるだけなら乾国の四人なら誰でもいいはずなのに敢えて高官を選んだ。そしてこの四人は毎月同じ日に朔北舞踏の歌舞酒場に来ていたから、ここが何かの手がかりになると思う」と、寒狰に情報を伝えます。

そして、蘇玖児は事件簿の半分を暗唱し、本物の身分証明書も渡すから一緒に酒場について来て欲しいと頼んで帰って行きました。

翌日正午。待ち合わせの場所に寒狰はやってきました。待っている間につかれてしまった蘇玖児はまた意識が遠のいてきます。早く寒狰の手に触れないと・・・

蘇玖児は、考えを巡らせ「これまでのお詫びに飴を買ってあげる」とべっ甲飴にたっぷり蜜を垂らして渡し、ベタベタになった手を拭くふりをして寒狰の手を握ります。

ちょうどそのとき、到着した馬車から祺人が降り立ち女性の集団が黄色い声を上げて集まります。祺人は一般的に背が高くて強いし、乾人の男性に比べて男らしくカッコいいのでモテるのです。

歌舞酒場に入ろうとすると、会員証が無ければだめだと止められ寒狰は蘇玖児が持って来た指輪を見せてさっさと中へ。蘇玖児もついて入ろうとすると、会員証を求められます。

蘇玖児は、寒狰を呼び止めるため黄色い声で「愛する 寒様!」と呼びかけます。唖然としている寒狰の腕をとり、指輪を奪い返すと受付に見せ「もう二度とほかのかわいい男の子に見とれないから許して~」と、痴話げんかのふりをして潜り込みました。

他に方法がなかったんだと言い訳する蘇玖児。恋人のふりして入場したから、怪しまれないようにこのまま演技を続けなくちゃね!と言いながら堂々と寒狰に触れることが出来るので嬉しそうです。

祺族の寿命は数百年、一生に一人しか愛せないのに蘇玖児を恋人にするとは誰一人信じないと寒狰は言います。「だったら彼らに私が恋人だと信じさせられたら相棒にしてくれるの?」と尋ねる蘇玖児。

中に入ると店内はとても広く、どこから調べればよいか見当もつきません。寒狰は「ついて来いと言われただけだ、事件についてほとんど知らない」と答えるので、事件のことを他の人に聞かれないよう耳打ちしました。

すると、一瞬のうちに蘇玖児は祺人に囚われて店の反対側に、そして寒狰は男を締め付けながら立っています。周りの客もあまりの急な出来事に呆然としています。怪しいそぶりの乾人の女性と祺人の男性がいるのを見た店主が話を聞こうとしたのです。

男は白音公子で、二人が亡くなった張大人の指輪を使って店に入って来たけれど、正体が掴めなかったので手荒な真似をしてしまったと謝ります。そして、張大人とは年の差はあったけど仲が良い友人だったというと、蘇玖児はきょとんとします。どちらも30代くらいに見えるし年の差って??

その様子を見た白音公子は「今年で八十三歳になる」と答えました。

祺人は寿命が乾人の何倍もあってみた目が変わらないと言うけど、もしかして寒狰もとんでもないお爺さんなのかしら?まじまじと顔を見る蘇玖児。

それはともかく、張大人らはここに毎月何をしに来ていたのかと尋ねると、白音公子は思いがけない話をします。

四人は実は親祺派の一員で、嫌祺派の人に話を聞かれないように、祺族の酒場で密会をして話し合いをしていたのだそうです。

乾国と祺国が平和に共存することを願う親祺派と祺国を嫌悪していて、両者を明確に分断することを望んでいる嫌祺派がいるということもよく知らなかった蘇玖児はぽかんとしてしまいます。

四人の官吏が本当に親祺派だったら祺人が彼らを殺すのはおかしい。三本傷の祺人が犯人というのももしかして間違いなのでは?と、蘇玖児は酒場を出るとすぐ寒狰にお休み!と言って去ってしまいました。

彼女が向かった先は督査衛。

やはりそうだ。三人には指輪の跡があるけれど、最後の一人には指輪の跡がない。4人目の遺体は張大人ではなく、彼に偽装されたんだ。

独り言を言った蘇玖児に「見かけほど愚かではなさそうだな」と寒狰が現れます。寒狰は、自分を撒いて督査衛に戻ったことに不信感を抱いていたのです。

蘇玖児は、ここであなたと一緒にいるのを見られたら職を失うと白状し、明日説明するから今は帰ってくれと頼みますが、寒狰はまだ騙す気なんだろうと疑います。

ところが、蘇玖児は話しているうちに気が遠くなってきました。寒狰に持病の奇病のことを説明して手を握らせて欲しいと頼みますが、また作り話をしていると相手にしてもらえません。

そんな時、タイミング悪く誰かが剖検室に忘れ物を探しにやって来ます。だったらせめてここを出ていってくれと頼んでも言うことを聞かず、声を立てようとするので・・・!

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これは… なにが起きてるんだ
どうしよう ただ黙っていて貰いたかっただけなのに…

「なんだ?こんな遅くまで残っていたのか?」大仁が部屋に入る直前に寒狰は隠れました。大仁は、何か手がかりでもあったのかと尋ねます。彼女が賢いことは大仁も認めています。

「ただその賢さを病弱で生かせなかっただけなんだよな」

それを聞いた寒狰は、奇病の話が本当なのかもしれないと思いました。蘇玖児は新しく得た手がかりを元に、犯人は三本傷の祺人ではなく濡れ衣を着せられただけかもしれないと打ち明けます。すると、「犯人かどうかは関係ない。事件を解決させることが大事だ」と大仁は言います。

真実を追求するのであって楽をしたいんじゃないと怒る蘇玖児に大仁は、「たとえ真実があったとしても日の目を見なきゃ意味がない」と諭して帰って行きました。

二人の会話を聞いた寒狰は、少し見直した様子で「だったら真実を探れば太陽の下に晒してやろう」と受け合います。

蘇玖児は遺体で気が付いたことを正直に話し始めます。どうも、この傷は死んだ後につけられたもので、祺人が噛み千切ったように見せかけて重い刃物みたいなもので実際は切断されている。寒狰は彼女が来る15分前にここへきてそのことを確認済みだと言います。

蘇玖児は自分が調べている間、既にそのことに気付いて陰でこっそり笑ってたのねと拗ねますが、寒狰も蘇玖児が持病のことを隠してたと反論します。

寒狰はやたらと触りたがる蘇玖児を薄気味悪い祺人の追っかけだと思って避けていたのです。では相棒になってくれるのか?と尋ねる蘇玖児に寒狰は、三つの条件を約束するなら受け入れると答えます。

  1. 身分証明書をくれること
  2. 許可なく撫でまわさないこと
  3. 事件簿を暗唱して、言うことを必ず聞くこと

二人はようやく相棒として手を結ぶことになります。

犯人の狙いはどうやら祺族の童謡を利用して祺人に濡れ絹を着せ、乾祺の不和を挑発することのようです。

感想

なんだかんだ言っても面倒見の良い優しい寒狰。すっかり蘇玖児のペースに持ち込まれています。

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5話:悄悄客

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胡八道に散々、寒狰をほめちぎる蘇玖児に彼は怪訝そうな顔をしています。寒狰は一目でその遺体が三十代くらいだと見分けた上で、膝の古傷などの具合から、四、五十年経っていることに気が付きました。

つまり、遺体は張大人ではなく、祺人だと言うのです。この祺人の招待がわかれば事件の全貌もわかるのではないかと蘇玖児は言いました。

明日また寒狰のところへ行ってくると言うと、胡八道はあの男はお前に気があるんだ!と慌てます。そんなわけがないし、私の方が毎日会いたいくらいだと蘇玖児が言うので胡八道は一層心配になります。どこの馬の骨かわからん野蛮な男に取られてたまるか!胡八道は独り言を言います。

翌日、寒狰と蘇玖児は雑貨店にやってきました。店主に寒狰は目で合図をすると、「星たちが祝福してくれますよう」と互いに挨拶して、秘密の扉が開き、祺人の闇市に入ることが出来ました。

毛皮を売る男や、小物を売る男、果ては商品を眺めている子供まで、蘇玖児はそっと祺人の手を触ってみますが、誰一人寒狰の手のように心地よい気が流れてくる人はいません。

その様子を見て、やはり祺人の追っかけなのではないかといぶかしむ寒狰。確かめるために、寒狰に手を握らせてくれと頼むと、他の人に触った手で 私に触れるなと断ります。

寒狰は奥に進み、占いと医術を行う男の前に座りました。死んだ祺人の特徴を伝え情報を得ようとすると、男は百両を請求します。

寒狰はあっさりと金貨を出すと、男は懸賞金で生活している亡命者の様子だったと答えます。他に情報はないかと重ねると、彼の名前は確か扎木克だったと教えてくれました。

それにしても、その扎木克という男は懸賞金で暮らすような戦闘力の高い祺人だったのに、なぜ張大人ではなく敢えて難易度の高い祺人を殺したのか、そして、張大人はどこにいるのか、生きているのか、蘇玖児は不思議に思います。

蘇玖児が祺人の闇市のお土産の薬草を手に家に戻ると、玄関の前で胡八道が心配そうに待っていました。母親は父の命日のためにご馳走を用意して二人を待っていたので、夜遅く戻って来た蘇玖児にカンカンです。

父の位牌の前でこの子は頭の中は事件を解決することだけで、よりよく生きることを考えないと愚痴を言います。

誤魔化そうと土産の薬草を渡すと、どこで買ったのかと追及が始まりました。適当に誤魔化そうとしましたが、母親は騙されず、とうとう正直に祺人の闇市に行ったことを打ち明けます。

まさか童謡事件に関わっているんじゃないかと心配する母親に、さすがに本当のことは言えず、ただ聞き込みしかしていないと答える二人。

蘇玖児は医師として、祺人のことも診察し、信頼されている母の助けを借りることを思い付き、扎木克という祺人を知らないかと尋ねます。

そんなことはいいから食事をしよう、と三人は食卓を囲みました。その夜はやはり父のことが思い出されてなりません。胡八道と蘇玖児も父を懐かしみ、母も父の夢を見ました。

あくる朝、母親は蘇玖児に扎木克という名を思い出したと言い出します。それは流行り歌だと言います。

惜しいかな 長年の愛が失われ
惜しいかな 乙女よこの薄情な男
なんと浮気な遊び人 扎木克

そんな感じの歌だったと言います。歌を手掛かりに、蘇玖児は寒狰と西厢堂にやってきました。どこから手を付けていいかわからない蘇玖児は、寒狰にこの辺りの匂いを嗅いでみたらどうかと提案します。

カチンときた寒狰はすごみますが、その拍子に蘇玖児は転んでしまいました。

手を貸して助け起こしてくれと頼んでも、どうせまた手をつなぎたいだけだろうと無視する寒狰。そこへ、逃げた仔犬を追いかけてきた青年がやってきます。道に転んでいる蘇玖児に手を差し伸べ、起こすのを手伝ってくれました。

青年はそのままじっと蘇玖児を見つめて手を離そうとしません。気まずくなった蘇玖児は、手を振りほどこうとしますが、青年はその様子にすら気が付きませんでした。

寒狰はイライラして助けようとしてるのか困らせようとしているのかと腕を掴みます。

知人にそっくりだったので、と青年は言い手を離します。犬を抱き上げ立ち去ろうとするところを、蘇玖児がすかさず、この付近に住んでいるなら、西厢堂の劇団員が普段どこにいるか知らないかと尋ねます。

青年は東園にいると教えてくれました。お礼を言おうとしましたが、寒狰が手を掴んで引っ張っていきます。後姿を見送りながら、青年は「とうとう 彼女を見つけた」と連れの召使らしい人に言いました。

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時間がないと言うのにあの男に愛想を振りまくのか、と寒狰はぷりぷり怒っています。お礼を言おうとしただけじゃないかと蘇玖児は反論し、公務で元気団のことを聞こうとしただけなのにと言い訳しますが、寒狰は男性と距離を縮めるために公務を口実にすると呆れます。

劇団員に芝居に出てくる扎木克とはどんな人物なのか尋ねる二人。戯曲の 扎木克は乾人の妻を寝取る遊び人だと劇団員は答えます。

祺人は寿命が長いが一生一人の人しか愛せないんだと、寒狰はまた機嫌を損ねてしまいます。乾族の女性と恋仲になるのも馬鹿げていますが、誰かの妻を奪うなんてあり得ないことです。

劇団員も、劇作家にあり得ない脚本だと文句を言ったのですが、どうしてもと言い張ったと証言します。それではその劇作家はどこにいるのかと聞くと、その劇作家は悄悄客と名乗るとても変わった人で、普段どこにいるかわからないそうです。東園にはその男の書斎があると言うので、そこを調べることにしました。

鍵をこじ開けて部屋に忍び込むと、すべてのものが左右対称に置かれています。とても几帳面に整っているのを見て、蘇玖児は劇作家は犯人ではないと言いました。

四人の遺体はとても雑然としていたからです。寒狰はバカにしたように、共犯者を見つけられないとでも思うのか、と言います。

劇団員が、劇作家が戻ってきたと声を掛けます。蘇玖児は彼の気を引く間に手がかりを探すよう頼んで外に出ました。わざと鉢植えを割り、破片を拾うふりをします。劇作家は戻ってきて声を掛けました。

あなたは‥‥‥!先ほどの青年が、連れの男と二人で立っていました。蘇玖児は寒狰の共犯者がいるかもという言葉を思い出しぞっとします。

すると犬がキャンキャンと吠え始め、青年は犬に話しかけながら「玖児?玖児って誰のこと」と無邪気に言い、蘇玖児にもしかしてあなたの名前が玖児なのかと尋ねます。

犬が名前を教えたなんておかしいと蘇玖児は怪しみますが、青年はニコニコしています。もしかして自分に会いに来たのか、と青年が尋ねると蘇玖児は我に返りました。戯曲の扎木克のくだりを歌うと、青年が続きを歌ってくれました。

あなたの作品が好きで、どんな方かお会いしたかったんです!と言い張る蘇玖児。青年は屈託なく、では台本の感想が聞きたいので明日会えないかと誘います。そしてとても高いことで有名な店を指定しました。

部屋へ戻るのを止めるために、明日会う約束をしてしまう蘇玖児。壊れた鍵をいぶかしみながら部屋へ入ろうとした瞬間、風が吹いて中には誰もいませんでした。

蘇玖児は寒狰を探しに戻り、どうやって部屋から抜け出すことが出来たのか尋ねます。知りたいのか?と聞くと寒狰は……

感想

蘇玖児のことを嫌いだと言いながら、彼女が他の男性と仲良くしたり、他の男性と話したりしているとすぐイライラしてしまう寒狰。蘇玖児かわいいもんなー仕方ないよね!彼女の名前を知っていた、謎の青年も気になりますよね。

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