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Netflix台湾ドラマ【悲しみより、もっと悲しい物語】あらすじ・キャスト・ネタバレ感想

アジアドラマ
© Netflix. All Rights Reserved.
作品情報
  • 製作:台湾
  • 原題:比悲傷更悲傷的故事
  • 監督:謝沛如(シエ・ペイルー)
  • VOD[Netflix]

Netflix【悲しみより、もっと悲しい物語】台湾ドラマ版。「珠玉のラブストーリー」と評されている本作は、白血病で余命わずかな男性主人公が、自分がいなくなった後に愛する人が苦しまないようにと、他の男性に彼女を託す「準備」を始めるというストーリー。台湾で数々の記録を打ち立てた同名映画のリメイク版です。

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【悲しみより、もっと悲しい物語】あらすじ

病気の父親を亡くし母親にも捨てられたK(フェンディ・ファン)は、孤独に苦しんでいました。

そんなKの苦しみを和らげてくれたのは クリーム(ワン・ジン)という転校生で、彼女もまた、事故で家族を失っており天涯孤独でした。

身寄りのない2人は、一緒に暮らすようになり“唯一無二”の存在になっていきます。Kはクリームを愛していましたが、決して恋人になるわけにはいきませんでした。

白血病で余命わずかな自分は、彼女を幸せにすることはできないから……。そこでKは、自分がいなくなった後にクリームが再び孤独で苦しまないよう準備を始めることにします。

それは、クリームを幸せにしてくれる男性に彼女を託すことでした。

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【悲しみより、もっと悲しい物語】キャスト

クリーム役/ワン・ジン

Movie Poster

俳優情報

  • 出身:台湾
  • 生年月日:1998年2月7日
  • 身長:163cm
  • Instagram:@_ginglebellaaa
  • 代表作
    • 【あすなろ白書】(2019)
    • 映画【返校】(2019

役どころ:ワン・ジンが演じるのは、事故で家族を失った天涯孤独の女性。自分と同じように家族を失ったKと一緒に住み始め、彼に恋心を抱きながらも家族として接します。大学を卒業後は、Kが勤める音楽会社の専属作詞家になります。“クリーム”は作詞家としての名前で、本名はソン・ユェンユェンです。

俳優について:母子家庭で育ったワン・ジンは、中学2年生の時にアメリカ留学をしました。当時は太めの体型をからかわれ、見返すためにソフトボールチームに所属し 努力でレギュラーを勝ち取ったそう。中学3年生になると小説の執筆をスタートし、2年後には【蟑螂哲學】を出版します。2016年にアメリカから台湾に帰国し、翌年の恋愛映画【痴情男子漢】でデビューを果たしました。

K役/フェンディ・ファン

Movie Poster

俳優情報

  • 出身:台湾
  • 生年月日:1993年11月4日
  • 身長:180cm
  • 血液型:O型
  • Instagram:@fan82114
  • 代表作
    • 【HIStory2 越界〜君にアタック!
    • 映画【下半場】

役どころ:フェンディ・ファンが演じるのは、白血病を患う孤独な男性。一緒に暮らしているクリームには病気のことを秘密にしています。彼女を愛しているものの、長く生きられないため気持ちを封印し、自分の代わりに彼女を幸せにしてくれる男性を探します。“K”は作曲家としての名前で、本名はチャン・チォカイ。

俳優について:幼いころから運動が好きだったというフェンディ・ファンは、小学生時代は水泳や陸上、バスケットボールなど様々なスポーツに挑戦しました。2012年に【課間好時光一年二班(原題)】に出演しデビューを果たしました。2018年に出演したBLドラマ【HIStory2 越界〜君にアタック!】でブレイクし、根強いファンを獲得しました。

アン・イーチー役/シャオ・ユーウェイ

Movie Poster

俳優情報

  • 出身:台湾
  • 生年月日:1989年9月21日
  • 身長:167cm
  • 血液型:A型
  • Instagram:@1989ivyshao
  • 代表作
    • 【天巡者】
    • 【華麗なるスパイス】

役どころ:レコード会社で働くシングルマザーで、心臓病を患う10歳の息子を育てています。手術費用の工面に苦労しながらも、愛する息子の病気を治すためには苦労も惜しみません。

俳優について:大学時代は外国語学科の英語ビジネスグループで学びました。女優としてデビューしたのは2011年。その後は様々な作品に出演し、2016年に【1989一念間】のヒロイン役に抜擢されます。

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ほかキャスト

  • ワン・ポーハン役:ワン・ポーチエ
  • コーロー役(子役):バイ・ルンイン
  • ヤン・ヨウシェン:フィガロ・ツェン
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ネタバレ感想

物語の構成が秀逸

物語は、クリームと出会った高校時代を振り返るKのモノローグ日記から始まります。

理論的には、運動で分泌されるホルモンが悲しみを和らげてくれる。でもこの日は、いくら走ってもその効果が出なかった。理由は分かってる。家族を失ったからだ。
~中略~
ずっと後になってから気づいた。人生で最悪の日に、最愛の人に出会ったことを――。

こうして始まる本作ですが、オープニングを挟んだ直後から物語の視点が変わります。レコード会社イーシャインでは、歌姫A-Linのアルバムに収録するタイトル曲について打ち合わせをしていました。

プロデューサーで作曲家のポーハンが提供した曲は、心に響かないという理由でA-Linに却下されたため、会社に送られてきたデモテープの中から曲を探してみることに。

その中のひとつに、A-Linの心を揺さぶる曲がありました。デモテープの送り主は不明でしたが、CDの表面にはこう書かれています。

“クリーム作詞 K作曲”

Kとは面識があったというポーハンは、以前の職場で同僚だったと話した後にこう続けます。「彼は3年前に亡くなった」そう、Kはすでに亡くなっているのです。

これからKとクリームの物語が進行していくものだと予想していた視聴者にとって、序盤で明かされるこの真実は衝撃的です。けれども、結果的にこの提示は物語をより深いものにしています。

なぜなら、すでに亡くなったことが分かっているからこそ、この後に描かれるKとクリームのやり取り全てが脳裏に焼きつくのです。Kの言葉や表情、クリームに向ける眼差しや笑顔、その全てが。

そして、届いたデモテープの文字(クリーム作詞 K作曲)さえも悲しみの意味を帯びているように見えてきます。ーシャインの社員によれば、Kの死後にクリームも後を追ったとのこと。

だとすれば、デモテープはいったい誰が送ってきたのか。ポーハンたちはそんな疑問を持ちながらも、まずは曲の著作権の手続きをしなくてはなりませんでした。

この件を任された社員のアン・イーチーは、Kが著作権について何か残していないかと遺品を調べているうちに彼の日記を見つけます。

そうして、彼の日記を通して過去のKとクリームの物語が描かれていくことになります。

もう1つの悲しみ

*物語の重大なネタバレを含みます。

物語の序盤でKの死を明かしたこともそうですが、本作は最終話に至るまで情報を明かすタイミングが秀逸です。

なんでもないようなシーンに思えても、後になって情報を付け加えることでそのシーンが別の意味を帯びる、というような構成テクニックが何度も使われています。

その最たるものが、後半に明かされるクリームの情報でした。まず前半では、日記を通してKの視点で物語が進んでいきます。父親を亡くして母親に捨てられ孤独に苦しんでいた時に、クリームに出会って救われたこと。

身寄りのない彼女と一緒に住み始め、家族のようなかけがえのない存在になっていくのと同時に、彼女を愛したこと。

けれども、白血病で余命わずかな自分では彼女を幸せにできないからと、別の男性に彼女を託すことにしたこと。

Kの望みは自分の愛を伝えることではなく、クリームが再び孤独で苦しまないようにすることだったのです。クリームには病気のことを悟られないよう振る舞いました。やがて、クリームはKが紹介した歯科医との結婚を決めます。

結婚式の当日。Kはクリームとヴァージンロードを歩いたあと、歯科医に彼女を託しました。式場から出ていくKは、これで自分が死んだあとも彼女は大丈夫だと安堵しながらも、悲しみで涙があふれて止まりません。彼の日記はここで終わっています。

K視点で描かれる前半の物語は、彼の深く切なく悲しい愛がつまっていました。けれど見ている視聴者からすると、その愛に胸がつまるのと同時に、“Kのその愛し方を果たしてクリームが望むのか”という疑問もありました。

Kにとってはそれがクリームの幸せだと思っていても、クリームにとっては違うかもしれないからです。彼女はKの死後に病気を打ち明けてほしかったと思うかもしれないし、Kとの残りの時間を恋人として過ごしたかったと思うかもしれません。

Kの愛し方は本当にクリームのためになっているのか。その答えは、後半になって描かれることになります。

物語の後半。Kの後を追ったと思われていたクリームが実は生きており、彼女の口から真実が語られました。本当は早い段階から、Kの病気を知っていたこと。Kを深く愛していたこと。

歯科医との結婚を決めたのは、Kがそれを望んでいたから。Kが何よりもクリームの幸せを優先していたように、クリームもまたKの望みを優先していたのです。

Kが安心できるように、Kのために。序盤に視聴者が抱くであろうKの愛し方を 本当にクリームは望むのか“という疑問、その答えは明白です。

彼女はKの愛し方を受け入れていました。Kが病気なことも、他の男性に自分を託そうとしていることも、分かっていながらそれを受け入れていたのです。

本作はこのように、物語の前半と後半では視点が変わるのですが、クリーム視点を見ると前半とはまた別の悲しみが湧いてきます。

確かな演技力

K視点で描かれる物語では、Kの病気を知らないクリームは歯科医と結婚して幸せになったように見えました。

しかし、クリーム視点の真実が明かされたあとで振り返ってみると、Kとの残りの時間を恋人として過ごしたいというクリームの気持ちが見え隠れする瞬間があったことに気づかされます。

たとえば、ウェディングドレスを試着した際に、Kにもタキシードを着させて一緒に写真をとったシーン。それから、結婚式の練習(誓いの言葉)に付き合ってほしいとKに頼んだこと。

それらのシーンは、クリーム視点の真実が明かされたあととなっては別の意味を帯びてきます。そして、同じシーンでも、K視点とクリーム視点で違って見えるように演じたクリーム役のワン・ジンが見事でした。

彼女はこの若さで2度も主演女優賞を獲得しているだけあり、クリームが作中で本当に生きているかのような息吹が感じられました。

K役のフェンディ・ファンも、言葉にしなくても彼の気持ちがダイレクトに伝わってくるような微細な表情演技が素晴らしかったです。

また、現代パートを牽引するもう1組のカップル(アン・イーチーとポーハン)も、主役2人に劣らない存在感と演技力がありました。

彼ら4人の確かな演技力があったからこそ、物語の悲しみがより深く表現され、より深く心を打ったのは間違いありません。

また先ほども触れたように、物語の構成力も素晴らしいため 普段恋愛ドラマを見ない方にもおススメできる作品となっています。

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数々の記録を打ち立てた映画版のリメイク

本作は、同名映画のリメイク版です。(画像は映画版)

映画版のここが凄い!
  • 2018年の台湾映画興収第1位を記録!
  • 公開前の韓国映画祭では、チケットが発売開始5分で売り切れ!
  • 台湾で公開後、わずか9日で興行収入4億円を突破!
  • 中国では、台湾映画史上で初めて興行収入第1位を記録!
  • 主題歌の【ある悲しみ】が金馬奨最優秀オリジナル映画歌曲賞にノミネートされ大ヒット!

これほどの記録を打ち立てた映画版ですが、もともとはクォン・サンウが主演を務めた韓国の同名映画をリメイクしています。韓国版の監督をつとめたのは、【悲しみより、もっと悲しい物語】の原作者で詩人でもあるウォン・テヨン

彼は、詩が身近なものとして親しまれている韓国では有名な詩人で、ラブレターの一節に彼の詩が使われることもあるほどだそう。2000年に公開された映画【イルマーレ】(韓国版)では、作中に出てくる手紙の文章作成を担当しています。