愛を知らない彼と、愛が深い彼女。ある日、目の前で音楽家の彼女が事故で亡くなってしまう…。彼女が作った楽譜と日記を抱えながら涙と共に眠りにつく―――。でも、次の日、死んだはずの彼女が隣にいる!? 甘いけど切ない、冬に見たいファンタジーラブストーリー「イフ・オンリー」。古い映画ですが、彼女の笑顔と彼の切ない表情が印象に残る作品です。
「イフ・オンリー」あらすじ

アメリカ人音楽家のサマンサ ”サム”(ジェニファー・ラブ・ヒューイット)は、イギリス人のビジネスマンで恋人のイアン(ポール・ニコルズ)とロンドンで暮らしていました。
その日は、サムの卒業コンサートの日で、イアンは大事なプレゼンがある日。サムは愛情いっぱいに接するもイアンはプレゼンのことで頭がいっぱいで、サムの卒業コンサートのこともすっかり忘れていました。
サムは、自分は二の次…そう感じていて、イアンもまたサムとの将来について悩んでいました。
夜7時に卒業コンサートが始まるので、イアンはタクシーで会場に向かいます。そのタクシーの運転手(トム・ウィルキンソン)は、不思議な男性でイアンがサムのことで悩んでいることを指摘します。
運転手のアドバイスは「今あるものを大切にしなさい。彼女を愛しなさい」でした。
不思議に思いながらもイアンは、花束を手にサムの親友のロッティとコンサートを鑑賞していました。コンサートを終えると、サムとイアンは食事に。
そこで話しているうちに、”二の次”と感じていたサムの感情が爆発し、サムはレストランを後にしタクシーに乗り込みます。
タクシーの運転手は、さきほどイアンが乗ったタクシーの運転手。「乗るのか?乗らないのか?」
結局、イアンはタクシーに―に乗りませんでした。
タクシーは発車し、交差点に差し掛かった時、横から車に追突され―――。
イアンの愛とサムの愛の距離

イアンは愛と言うものを知らなかったんです。だから、サムを「愛してる」ではなく「大好き」と伝えていたんです。でも、サムは「愛してほしい」という思いだったので、二人の感情はすれ違っていました。
イアンは仕事を優先し、サムのことを見ていなかった。だから、サムが毎日のように火傷していることも、卒業コンサートの日も、サムが赤いセーターを持っていることもなにも覚えてなかったんです。
でも、イアンはサムを愛していなかったのではなく、愛し方を知らなかったんですね~。それは、子供の時にヒーローだと思っていた父親が、突然リストラされて無職になり酒におぼれたのも原因。
子供だったイアンは、そんな父親みたいになりたくないという思いで仕事を優先するようになったみたいです。でも、あとから父親を助けてあげればよかったんだと後悔しています。
愛し方を知らないと言っていたイアンが目覚めたのは、タクシー運転手の言葉です。彼が何者なのかは作中では明かされませんが、天使なのかな?と。
サムが乗ったタクシーが交差点で追突され、重傷を負ったサムは病院に運ばれたのですがイアンの目の前で息を引き取りました。
イアンは、サムを失ったことに傷心し彼女が作詞作曲した楽譜と日記を抱きながら眠ってしまったんです。
でも翌朝、目が覚めたら横にサムがいる!? 実は、その日はサムが事故で亡くなる日の朝でした。イアンは悪夢を見たと思っていましたが、それは夢ではなくイアンが前日にタイムスリップしたという。天使(タクシー運転手)の仕業なのかなって。
夢(と思ってる)と、少し違いはあるものの基本的なところは同じように時間が進みます。重要なのはイアンの腕時計。(11時を指したまま止まっていた)
イアンの時計が事故の時間(11:00)に割れたのですが、その兆候がなかったのでイアンはちょっとだけ安心するんです。
でも、イアンは夢=現実と考えて一生懸命努力しました。そして、サムへの愛を感じるようになったんです。サムがいない世界はいやだって。
こうしてイアンは愛を知ることができたし、それまでサムの一方通行だった愛もお互いを本当に必要だと感じられるようになったんですね~
でも、運命って残酷だったんです。
こんな切ない終わり方って…
イアンはサムのことを心から愛することができて、彼女に心からの愛の言葉を伝えました。まるで、何かを失うかのように…ね。
イアンの中では「サムを失う」なんですが、ラストはサムがイアンを失う。なんです
これって残酷ですよね。サムにとっては二の次だと思っていたのにイアンがまっすぐ自分を愛してくれてることがわかり、イアンもサムを失えない大切な人だとわかった―――。
でも、イアンの愛の深さがサムを救ったといってもいいのかな。自分を犠牲にしてでも愛する人を守る。みたいな感じ。
うまく言えないけど、愛する人が重い病気になったりケガをしたりしたときって、自分が変わってあげたいっておもうことありませんか?タクシー運転手はサムの運命が分かっていたので、きっとそんな感じのことを言いたかったのかなって思います。
最後はハッピーエンドにはならないけれど、ちょっぴり温かい気持ちになれる映画でした。
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「イフ・オンリー」©2006 Lions Gate Entertainment
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