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【アッシャー家の崩壊】あらすじ/ネタバレ/解説と考察。ポーの短編を原作とするホラードラマ

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©Netflix

【アッシャー家の崩壊】(Netflix)あらすじとネタバレ考察。エドガー・アラン・ポーの短編小説を原作とするホラードラマで、【ドクター・スリープ】(2019)のマイク・フラナガンが監督を務めました。富、名声、特権の全てを手にした大手製薬会社の経営者アッシャー家は、次々と悲惨な死を迎えます。6人の子供たちの死の裏に隠された恐ろしい秘密とは……⁉︎

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【アッシャー家の崩壊】あらすじ

Movie Poster

ロデリック(ブルース・グリーンウッド)とマデライン(メアリー・マクドネル)のアッシャー兄妹は、製薬会社のフォーチュナート社を経営しており、ロデリックには私生児を含めて6人の子供がいます。

フォーチュナート社はリゴドーンという鎮痛剤で軌道に乗り、今や大手製薬会社としてアッシャー家は巨額の富と名声、あらゆる特権までも手にしました。

そんなある日、アッシャー家の末息子ペリー(サウリヤン・サプコタ)が不審な死を遂げます。

このペリーの死を皮切りに次々とロデリックの子供たちが謎の死を遂げていきますが、その裏にはフォーチュナート社にまつわる恐ろしい秘密が隠されていました。

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本作の背景は”オピオイド危機”

【アッシャー家の崩壊】では、大手製薬会社を経営するロデリック・アッシャーを取り巻く物語が、検事補のオーギュスト・デュパンへの告白という形で描かれています。

ロデリックはリゴドーンという鎮痛剤の危険性を隠して販売してきたとの理由からデュパンに裁判を起こされましたが、この問題は1990年代からアメリカで社会問題となっている”オピオイド危機”を反映しています。これには、監督のマイク・フラナガンと共同製作者のトレバー・メイシーのオピオイド危機を視聴者に改めて考えてほしいとの考えがありました。

実際、アメリカではオピオイドと呼ばれる麻酔性鎮痛薬の中毒患者や過剰摂取による死亡者数が増加しており、社会問題となってきました。2016年には薬物の過剰摂取による死亡者数の6割強を占めるなど事態はかなり深刻ですが、なかなか対策が追いついていないのが現状です。

また、第8話のロデリックの最後の告白内でのマデラインの発言では、一部の富裕層が私服を肥やすために商品を売ることや、消費者がリスクを避けることよりも流行を優先して商品を買うことの異常さを指摘しており、こうした問題はアメリカだけではない世界共通の社会問題と言えるでしょう。

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ロデリックの子供たちの死の真相

ロデリックの子供たちの死についてはすでに警察が全てを明らかにしていますが、ロデリックは子供たちの死は全て自分に責任があるとして1人ずつ死の真相を告白します。

ペリー、カミーユ、レオの場合

Movie Poster

ペリー(プロスペロー)

私生児のペリーは16歳でアッシャー家に仲間入りを果たすも、父や他の兄弟に比べて自分は何も成し遂げていないことを気にしていました。そこでペリーは1夜限定のナイトクラブを成功させることで家族に認められようと考え、アッシャー家が経営するフォーチュナート社の空き工場でナイトクラブを開催します。

ペリーはスプリンクラーを起動して場を盛り上げようとしますが、そのスプリンクラーに使用された水は汚染水で、水を浴びたペリーを含める大勢の参加者は全身に火傷を負って死亡しました。

カミーユ

アッシャー家の言動をチェックするのが仕事のカミーユは、ロデリックが懸賞金をかけた情報提供者を突き止めようと必死です。カミーユは直感でヴィクトリーヌが怪しいと感じており、証拠を掴むべく彼女の研究所を訪れます。

カミーユは所内でアドレナリンで無理矢理心臓を動かしているであろう実験体のチンパンジーを発見して証拠写真を撮影していたところ、警備員の女性に襲われて死亡しました。

レオ

レオはゲーム開発に携わってはいるものの実際の開発には関わっておらず、インスタのフォロワーとドラッグだけが心の支えです。やがて度重なるきょうだいの死に追い詰められたレオは、幻覚に襲われるようになっていました。

とうとうレオは現実と幻覚の差がわからなくなり、幻覚である恋人の飼い猫を捕まえようとしてベランダから飛び降り死亡します。

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ヴィクトリーヌ、タマレーン、フレデリックの場合

ヴィクトリーヌ

研究者のヴィクトリーヌは、公私共にパートナーであるアルと人工心臓の研究をしていました。しかし研究所でカミーユが死亡していたり、父ロデリックからの過度な期待によるストレスが限界に達し、ロデリックの目の前で自ら命を断ちました。

タマレーン

タマレーンはロデリックが結婚した妻アナベルの長女で、兄フレデリックと共に子供時代を父ロデリックと過ごしました。現在はゴールドバグという美容と健康のブランドを立ち上げ、フォーチュナート社の製薬会社としてのイメージを一新しようと必死です。

ところが、タマレーンは新製品の発表会からずっと幻覚に見舞われ、帰宅した自宅で幻覚と格闘した結果、割れた鏡が体中を貫き死亡しました。

フレデリック

フレデリックはロデリックが結婚したアナベルの長男で、妹タマレーンと共に子供時代をロデリックと過ごしました。現在はロデリックが経営するフォーチュナート社の取締役を務めていますが、兄妹の死と妻がペリーのナイトクラブに居たことによるストレスからドラッグを乱用しています。

フレデリックはペリーの死亡事故が起きた工場の建て壊しに立ち会った際、ドラッグに麻痺薬が混入していたことで工事現場から動けなくなり、そのまま解体工事に巻き込まれて死亡しました。

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アッシャー家を崩壊に追い込んだのはCADSILか謎の女性か?

アッシャー家はCADSILに苦しめられていた?

ロデリックの母は、CADSILこと常染色体優位脳動脈症を患っており、この病気の影響で幻覚を見て奇行に走りました。

CADSILとは、皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優位脳動脈症のこと。
CADSILは脳の細い血管が障害される遺伝性疾患で、血管性認知症を併発する。
思考問題解決能力空間認識能力記憶に影響し幻覚を引き起こす

CADSILの治療法はなく、表面上は元気でも余命は5年で、その間ずっと薬物療法が続くためロデリックは予防措置として、脳の血管をリアルタイムで診断できる人工心臓の開発をヴィクトリーヌにさせていました。

なお、実際にはCADSILという病気は存在しませんが、CADASILという英名で、日本名は作中と同じく皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症という病気はあり、症状なども作中と同じためCADSILはこの病気をもじったものなのでしょう。

こうしたCADSILの症状を踏まえると、ロデリックを始めとするアッシャー家の者たちは全員幻覚を見ており、子供たちも自覚していなかっただけですでにCADSILを発症していた可能性があります

謎の女性の正体は死神

Movie Poster

アッシャー家の子供たちの死亡現場やロデリックとマデラインの周辺など、要所要所で姿を現す全身黒づくめの女性。この謎の女性については、第8話のロデリックがデュパンにした最後の告白にヒントがありました。 

それはロデリックとマデラインが犯した殺人のことで、その告白の中でマデラインはロデリックに「彼女が死神だろうが私はマデライン・アッシャーよ」との発言をしています。この際、マデラインは謎の女性と交わした契約に関する話をしていたので、”彼女”というのは謎の女性を指しているのでしょう。

ロデリックの最後の告白からは、彼らが死神である黒づくめの女性と契約を交わしていた過去も判明しましたが、この女性が実在するのかについては確証がありません。そもそも黒づくめの女性を目撃しているのは、アッシャー家の人間と顧問弁護士のピムと検事補のデュパンだけで、全員がアッシャー家にまつわる人間です。

ピムとデュパンがアッシャー家のようにCADSILを患っている可能性は極めて低いでしょうが、アッシャー家と深く関わりすぎたが故に妄想を抱き、彼らまで幻覚を見るようになっていたとしても不思議ではありません。

何より黒づくめの女性を目撃した第三者がいない時点で信憑性に欠けており、ロデリックとマデラインが明かした死神である黒づくめの女性の話自体が現実のものではない可能性があります。

もし死神である黒づくめの女性が実在しないとすると、アッシャー家を崩壊に導いたのは死神である黒づくめの女性ではなく、ロデリックの母から引き継がれたCADSILという病気か、はたまたアッシャー家そのものに問題があったとも考えられます。

©Netflix
本ページの情報は2023年10月時点のものです。最新の配信状況は公式ページまたは各動画配信サービスにてご確認ください。