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「馭鮫記(ぎょこうき)後編」9話・10話あらすじネタバレと感想。別れと出会い

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「馭鮫記(ぎょこうき)後編」9話・10話あらすじネタバレと感想。御霊師の紀雲禾は、敵対する万花谷と北淵の仲を取り持つべく命を賭けます。

順徳仙姫の腹心の朱凌に発作を引き起こされた万花谷の御霊師を救おうと、紀雲禾は全ての霊力を分け与えました。紀雲禾は力なくその場に倒れ、長意が紀雲禾を受け止めます。

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第9話:紀雲禾の覚悟

© 2022 Croton Entertainment Co., Ltd.
※本記事は、物語が前後する箇所があります。

北淵ほくえん御霊師ぎょれいし紀雲禾きうんかは、志は同じなのに敵対する万花谷ばんかこくと北淵の仲を取り持つため、己の命を賭けることにしました。

そもそも万花谷側は、谷主の林旲青りんこうせいの命に従い兵を引こうとしていましたが、順徳仙姫じゅんとくせんきの腹心の朱凌しゅりょうのせいで戦わざるを得ない状況になっていました。

朱凌は寒霜かんそうを発動させる術を持っており、反発する万花谷の者たちへの見せしめとして、皆の前で楯突いてきた木沢ぼくたく長老を発作を用いて殺害していたのです。

林旲青とは反対に、朱凌は北淵と戦うことを望んでいた

そこで紀雲禾は鮫族王子の長意ちょういの腹心である空明こうめいを頼り、残った霊力を奮起させる丹薬を貰いました。ただ、これを使えば、体内の生気を全て失って紀雲禾は死に至るとのことでした。

紀雲禾はどうせ残り少ない命なら最後くらい皆の役に立ちたいと、己の命を賭けて万花谷と北淵の仲を取り持つことを決意します。そんな紀雲禾の熱い思いを受け、空明は全面的に協力する姿勢を見せました。

まず、紀雲禾は空明と共に族の王女の卿瑶けいようを訪ね、万花谷の帰順を認めるよう頼み込みます。紀雲禾に父の狐王を殺されたと思っている卿瑶は難色を示したものの、紀雲禾が命を賭けてまで平和を望んでいると知り、願いを受け入れることにしました。

その頃、万花谷は北淵と対峙しており、一触即発の状況でした。北淵は戦を望まないとの意思を表明する長意に対し、万花谷を率いる瞿暁星くぎょうせいは戦う他に道はないと進軍を命じます。

一斉に万花谷の御霊師たちが北淵軍を目掛けて走り出した矢先、そこへ紀雲禾と空明、卿瑶が現れます。紀雲禾は闘志を剥き出しにする万花谷の者たちに、林旲青が進攻した目的は北淵に帰順させるためだと説明しました。

さらに、空明は万花谷の御霊師の悩みの種である寒霜を抑える薬を作れることを明かし、卿瑶は北淵に帰順する御霊師を快く迎えるとの誓いを立てました。

万花谷の御霊師たちが突然のことに戸惑うなか、瞿暁星はいつだって紀雲禾を信じていると告げ、北淵に帰順することを宣言します。

この瞿暁星の勇気ある行動が皆の背中を押し、万花谷の御霊師たちは口々に北淵への帰順を宣言しました。こうして万花谷と北淵は紀雲禾の望み通り、仙師府を討つ同志となりました。

しかしそこへ朱凌が現れると、事態は一変します。万花谷に戦うよう命じていた朱凌は望まぬ結果に腹を立て、3000人もいる御霊師たち全員に寒霜の発作を引き起こしたのです。

たちまち苦しみ出す御霊師たちを目の当たりにした紀雲禾はその場に飛び上がり、最後の力を振り絞って己の霊力を全て御霊師たちに分け与えました。力なく落ちてくる紀雲禾を長意が受け止め、紀雲禾は長意の腕の中で亡くなります。

感想

紀雲禾の弱り方からいつ亡くなってもおかしくないとは覚悟していましたが、いざその時を迎えると悲しくてたまりませんでした。何よりも意地を張り続け、紀雲禾に対して厳しい態度を取ってきた長意が居た堪れません。紀雲禾の死は意地を張ったあなたのせいだと、仙侍の洛綿桑らくきんそうから長意が責められるシーンはとても痛々しく、それぞれの気持ちがわかるからこそ心苦しくなりました。とはいえ紀雲禾の最期は実に紀雲禾らしくて、最後まで皆を救おうとしたその生き様は美しかったです。

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第10話:紀雲禾が遺したもの

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北淵。紀雲禾の死を察知した天君の汝釣じょきんは、北淵の尊主である長意に面会を求めていました。

すでに汝釣は何日も長意を待っており、汝釣に同行する飛廉神君ひれんしんくん雷沢らいたく神君は痺れを切らします。それでも汝釣は長意の奮起を信じ、辛抱強く待ち続けました。

その頃、雲苑に篭る長意は、紀雲禾の愛読書の広物こうぶつ集から遺言を発見します。遺言には、かつて長意が紀雲禾と見た人間界の景色が描かれ、その裏には自分のことよりも世界の平穏を案じる紀雲禾らしい願いが記されていました。

紀雲禾の言葉に覚悟を決めた長意は汝釣を呼び出し、要件を聞きます。汝釣の要件は2つで、北淵に対する謝罪と、仙師府を討つべく手を組みたいというものでした。

紀雲禾を死に追い詰めた朱凌は汝菱の指示で動いているゆえ、姉である汝菱の行動は自分にも責任があると汝釣は考えていた

長意は終始迷惑そうな様子で話を聞いていたものの、その場で汝釣の提案を断ることはしませんでした。

翌朝。長意は紀雲禾が自由を味わった雪原にて、紀雲禾を見送りました。その際、長意が流した一粒の涙は赤い玉となり、紀雲禾の手のひらに落ちました。

紀雲禾を見送った長意は雲苑うんえんを封印し、汝釣を呼び出します。実は、長意は雲苑から荷物を運び出した時に広物集に記された仙師の手がかりを発見していました。

長意が見つけたのは、仙師の寧清ねいせいの名と山の絵が記されたページで、その絵を見た汝釣はすぐに勘付きました。その絵に描かれた山は、仙令が示す山と完全に一致していたのです。

紀雲禾から全てを聞かされていた空明によれば、その山は”無名山むめいざん“と呼ばれる山で、かつて仙師の寧清が不思議な力(密室に隠された青黒い煙のようなもの)を得た場所でした。

長意たちは、もし本当に寧清が山から力を得ているなら寧清を倒すための鍵は無名山にあると結論づけ、汝釣が無名山を捜しに行きます。

一方、万花谷の谷主の林旲青は狐族の王女の卿瑶により解放され、仙侍の思語しぎょと共に万花谷へと出発します。そこへ東濂とうれん長老と、北淵に帰順したはずの瞿暁星が現れます。

彼らは林旲青を誤解していたと明かし、今後は林旲青について行くとの意思を示しました。そこで林旲青は寒霜の解毒薬に必要な薬材の調達を東濂長老に託し、瞿暁星には北淵で仲間を助けるよう言い渡します。

万花谷に戻る道中、林旲青はおもむろに手ぬぐいを取り出しました。すると、その手ぬぐいから黄色い光が飛び出し、林旲青たちをある場所へと導きます。

そこには、真っ白な体で耳と尻尾だけが赤い白狐の姿がありました。なんとその白狐は、御霊師としての体を失い、完全な九尾狐となった紀雲禾でした

感想

まさか紀雲禾が完全な九尾狐になっていたとは思わず、白狐が現れた時にはとても驚きました。でもこれも心優しい林旲青の性格を踏まえれば納得で、かつて林旲青が紀雲禾に約束した「必ず助ける」を有言実行した瞬間でした。こうした林旲青の行動からは、いかに彼が仲間と万花谷を守ろうとしているかがわかります。

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本ページの情報は2024年1月のものです。最新の情報は公式ページまたは動画配信サービスにてご確認ください。